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労働市場の謎

今読んでいる本に面白い記述がありました。

 隣接しあうニュージャージー州ペンシルベニア州でファーストフード業界の雇用動向を調査。

ニュージャージー州最低賃金が約20%引き上げられ5ドル5セントになった直後、ペンシルベニア州では最低賃金に変更はなく4ドル25セントのままであった。

 

その結果ニュージャージー州のほうが非熟練労働の賃金が明らかに高くなったにも関わらずニュージャージー州ではファーストフード1店舗につき新たに2.6件の雇用が生まれた。これは13%の増加に相当したが新しい最低賃金の代償は消費者にいきペンシルベニア州に比べてペンシルベニア州のファーストフードは値上がりした。

 

人間だから、より多くの賃金を支払えば、モラルの向上、離職率の低下、生産性の上昇など、雇用主にとってさえも重要なメリットがもたらされる。これらの利点により、労働コストの増大が生む直接的な影響が相殺されるため、最低賃金を引き上げたことで必ずしも職を失うことにならないのだ

 雇用主は、常に低賃金戦略と高賃金戦略がもたらす、それぞれのメリットとデメリットに直面する。たとえば、最低限の賃金を支払い、高い離職率と低いモラルを容認するこれまでのウォルマートのようなモデルと、高めの賃金と福利厚生により安定性の高い労働力を実現するコストコのモデルの違いだ

 

クルーグマン「最低賃金を引き上げよ!」 労働市場は他の市場と違う。常識を覆した経済学の”知的革命” The NewYork Timesより | The New York Times | 現代ビジネス [講談社]

 

エコノミストのコンセンサスは、経済学における一般論 - コバヤシユウスケの教養帳

 

通常の経済分析では最低賃金が雇用に悪影響を及ぼすはずだと示唆されるはずも雇用と収益性にどのような影響を与えたかを調べたところ低賃金の分野でごくわずかな雇用の減少が認められただけだった。

流通業で賃上げが広がれば、米国民の所得が底上げされ格差是正につながると期待されるほか、米経済をけん引する個人消費も刺激しそうだ。

米ウォルマート、最低賃金38%上げ 国内50万人対象 :日本経済新聞

賃上げの代償をうまく転嫁できるか(外国の供給源やさまざまな分野からの競争が少ない場合)で変わってきますが、少なくとも最低賃金導入直後は利益減を受けなければならないですが、そのうち増えた費用をうまく転嫁できるようになるかがキーポイントになってきます。

賃上げの背景には、景気拡大で失業率が6年9カ月ぶりの低水準となるなか、労働力の獲得競争が激しくなっている事情がある。ターゲットのコーネルCEOは3月5日の金融アナリスト向けの会見で、店頭での接客の質が他社との差別化につながるとし、「賃金の面でも競争力を高くしたい。能力のある人材を集め続けることができる

 

米マクドナルド:賃上げ、有給休暇も付与へ-人材確保で改善 - Bloomberg

 

最低賃金の副作用として何が公平かについて従業員の考えをゆがめる側面を持ちますが、単純ではないにしろこの検証が本物ならまた経営者の方針がこの考えに基づくなら、賃上げを行う企業は大変優秀ととらえることもできます。

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